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不発弾 

「そろそろシャワー浴びて出ようか」

僕の隣に寝ている男がささやいた。
この男とはついさっき、ほんの3時間ぐらい前に知り合った。
インターネットの掲示板で知り合い、待ち合わせをし、適当に入った喫茶店で軽くお茶を飲み、そして今、激しくお互いの肉体を貪り合った残滓が残るラブホテルの安っぽい布団に一緒に寝ている。
お互いの体の隅々まで手や舌で確かめ合ったのに、名前すら知らない。そういう状況。

「うん」
僕は小さく返事し、ぬくもりの残るベッドから這い出る。
枕元にあるデジタル時計が22:15という数字を、ぼんやりと光って知らせていた。
一瞬時限爆弾みたいだと思った。

一緒にシャワーを浴び、脱ぎ散らかした服を元通りに身に付けながら他愛もない話をするうちに、彼がふと
「明日子供の誕生日なんだよなぁ」
と何気なく呟いた。

へえ、そうなの、と返事したその瞬間、僕の心のどこかでほんの一瞬何かが弾けたような感じがして、鏡を見ながら機嫌よくネクタイを締めているこの男に対して、嫉妬と憎悪の入り混じったような感情を持っている自分に気がついた。

この男は、僕がどんなに欲しても手に入れることの出来ないものを持っているのだ。

平凡だけどささやかな幸せというやつ。
休日には奥さんと子供と三人で、大型ショッピングモールに買い物に行く。
仕事が忙しくてなかなか子供と遊ぶ時間もないけれど、その分日曜日には必ず子供とずっと一緒にいるようにしている。
お盆と正月にはお互いの実家を訪れる。良好というほどではないが、まあ上手く行っているほうである。

とここまで想像して、あまりのチープさに噴き出しそうになる。
でもそんなに外れてはいないのではないだろうか。
いわゆる普通の幸せ。
そんなもの、これまで一度だって欲しいなんて思ったことはない。
それは元々自分が手に入れられるようなものではないと、最初から諦めていたせいかもしれないし、自分にとっての幸せはそこにはないという、ある意味達観したような見方をしていたせいかもしれなかった。

それなのに、今目の前にいる男に激しい憤りを感じている自分は一体何なのだろう。
単なるないものねだりか。
それとも本当は心の奥底でそれを欲しがっているのだろうか。
そしてそれを持っているくせに自分と快楽をむさぼったこの男が、許せないのだろうか。

なんて考えているうちに何だか馬鹿馬鹿しくなり、着替え終えて忘れ物がないか確かめているうちに憤りのような感情もすっかり冷めてしまっていた。

そして部屋を出てドアが閉まった時には、いつものようにセックスの後の満足感と底知れぬ寂寥感を味わっている自分がいた。



 注:このエントリは100%妄想ですのであしからず




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陰謀 

2006年夏、デビューしたばかりの田中ローマが歌番組の楽屋でくつろいでいると、ドアをノックする音が。



「どうぞ」


「ハーイ、初めまして!ユーが今話題のR&Bシンガー、田中ローマくんだね?」


「え、だ、誰あんた?」


「まあ誰でもいいじゃないの。一つだけ言えるのは、ユーなんかよりずっと前からこの業界にいる者ということかな」


「で、何の用?」


「ちょっと質問したいんだけど、ユーはこれからどんなシンガーになっていきたいと思ってるの?」


「ああ、自分ダンスが得意なんで、日本にはまだ少ない歌って踊れる本格派のR&Bシンガーになりたいなぁと思て…」


「ノンノンノン!!歌って踊れるR&Bシンガーだって?!そんなのもう時代遅れだよー!」


「えっ?!」


「そういえばユーはアメリカから帰ってきたばかりだそうだね。だから知らないと思うけど、ジャパンでは踊れるアーティストなんてとっくの昔に廃れて消えてしまったのさ!今どきそんな古くっさいこと言ってるシンガーなんて、ナッシングだよ!」


「ホ、ホンマかいな!?」


「そうそう。だから悪いことは言わないから、ダンスなんて捨てちゃいなよ!」


「うん、そうするわ。オッちゃん、色々教えてくれてありがとさん」


「なーに、未来ある若者を正しく導くのが僕の仕事だからねー!それじゃ、バイバーイ!」


   ・
   ・
   ・
   ・


「ジョニーさん、また一人ライバルを減らすことに成功しましたね」


「フフ、歌って踊れるシンガーなんて、我がジョニーズ事務所のボーイたちだけで十分なのさ。さ、次はビジョンファクトリーに三裏大知潰しに向かうとするか」


そんなセリフを残し、黒塗りの車は静かに走り去った…。







あー、アホらしい。

山田トメが行く! 

ワシは一体こんなところで何をしとるんじゃろう…?
 
山田トメ(82)は一瞬困惑した。
 
目の前には自分を見つめる大勢の人々。
まるで何か珍しい生き物を見るかのような、あからさまに好奇心を称えた視線。
 
そしてトメが座っている椅子の前には小さなお椀に入った蕎麦が。
 

そういえばお昼がまだじゃったのぅ。
ちょうどいい。
このお蕎麦をいただくとしよう。
 
トメは蕎麦を一口で平らげた。
 
 
(102回繰り返し)
 
 




「おめでとうございます!!わんこ蕎麦大食い大会、優勝は大会新記録の102杯で、山田トメさんです!!」
 
司会者の声が会場に響き渡り、観衆からは盛大な拍手が起こった。

「それではトメさん、テレビの前のご家族に一言どうぞ!」




「由紀子さん、お昼はまだかいのぅ?」

真実の耳 

ある男が言いました。

「もう嘘なんてたくさんだ。オレは真実だけが知りたい。本当のこと以外聞きたくない!」


それを神様がお聞きになり、男に言いました。

「そんなに真実だけが知りたいのなら、お前に人の本音を聞くことの出来る耳を授けてやろうか」


男は願ったり叶ったりとばかりに、喜んでその話を受けることにしました。
そして早速新しい耳に取り替えてもらったのです。


するとどうでしょう。
その途端、男の耳には周囲の人の悪意が泥水のように耳に入り込んできたのです。



あいつさえいなければもっと出世出来るのに…。


さっき肩がぶつかったやつ、今度会ったら殴ってやる。


あんなブサイクな女にあんなイケメンの彼氏がいるなんて、納得できないわ。奪い取ってやる。


あー、前をちんたら歩いてるジジィ邪魔!さっさと脇にどきなさいよ。轢き殺すわよ!



「人間とは何と醜い生き物だろう…」

男は絶望し、その日のうちに自らの命を絶ってしまいました。

女王様症候群 

では次のニュースです。


今日正午頃、大阪市内のコンビニエンスストアで女王様症候群と見られる若い女が逮捕されました。

女は、お釣りを受け取る際、店員の手に爪を突き立てたにも関わらず、謝罪するどころか「何か文句あんの?!」とでも言いたげな女王様目線で睨みつけたそうで、店員の通報により駆けつけた警察官に「女王様罪」の容疑で逮捕されました。

国内での女王様症候群による逮捕者はこれまでに約2000人ほど確認されており、硬質なカバンを他人にぶつけながら歩く、ヒールのかかとで他人の足を踏みつける、などの症例が報告されています。

また、共通して見られる特徴として、常に上から人を見下す目線、自分に原因があろうがとりあえず何でも他人のせいにする、などが挙げられます。

皆様も身近にそのような女性を見られましたら、至急110番通報するか、近くの交番に知らせるなどの対策を取られるようにお願いします。


ちなみに先ほどの女は、すぐに保健所に送られ処分されたということです。


では次のニュース…

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