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不発弾 

2010年02月07日 ()
「そろそろシャワー浴びて出ようか」

僕の隣に寝ている男がささやいた。
この男とはついさっき、ほんの3時間ぐらい前に知り合った。
インターネットの掲示板で知り合い、待ち合わせをし、適当に入った喫茶店で軽くお茶を飲み、そして今、激しくお互いの肉体を貪り合った残滓が残るラブホテルの安っぽい布団に一緒に寝ている。
お互いの体の隅々まで手や舌で確かめ合ったのに、名前すら知らない。そういう状況。

「うん」
僕は小さく返事し、ぬくもりの残るベッドから這い出る。
枕元にあるデジタル時計が22:15という数字を、ぼんやりと光って知らせていた。
一瞬時限爆弾みたいだと思った。

一緒にシャワーを浴び、脱ぎ散らかした服を元通りに身に付けながら他愛もない話をするうちに、彼がふと
「明日子供の誕生日なんだよなぁ」
と何気なく呟いた。

へえ、そうなの、と返事したその瞬間、僕の心のどこかでほんの一瞬何かが弾けたような感じがして、鏡を見ながら機嫌よくネクタイを締めているこの男に対して、嫉妬と憎悪の入り混じったような感情を持っている自分に気がついた。

この男は、僕がどんなに欲しても手に入れることの出来ないものを持っているのだ。

平凡だけどささやかな幸せというやつ。
休日には奥さんと子供と三人で、大型ショッピングモールに買い物に行く。
仕事が忙しくてなかなか子供と遊ぶ時間もないけれど、その分日曜日には必ず子供とずっと一緒にいるようにしている。
お盆と正月にはお互いの実家を訪れる。良好というほどではないが、まあ上手く行っているほうである。

とここまで想像して、あまりのチープさに噴き出しそうになる。
でもそんなに外れてはいないのではないだろうか。
いわゆる普通の幸せ。
そんなもの、これまで一度だって欲しいなんて思ったことはない。
それは元々自分が手に入れられるようなものではないと、最初から諦めていたせいかもしれないし、自分にとっての幸せはそこにはないという、ある意味達観したような見方をしていたせいかもしれなかった。

それなのに、今目の前にいる男に激しい憤りを感じている自分は一体何なのだろう。
単なるないものねだりか。
それとも本当は心の奥底でそれを欲しがっているのだろうか。
そしてそれを持っているくせに自分と快楽をむさぼったこの男が、許せないのだろうか。

なんて考えているうちに何だか馬鹿馬鹿しくなり、着替え終えて忘れ物がないか確かめているうちに憤りのような感情もすっかり冷めてしまっていた。

そして部屋を出てドアが閉まった時には、いつものようにセックスの後の満足感と底知れぬ寂寥感を味わっている自分がいた。



 注:このエントリは100%妄想ですのであしからず




19:29 作り話 | (-) | (-)


■庭の桜、隣の犬 

2010年01月31日 ()
『庭の桜、隣の犬』 角田光代

夫婦って、家族ってなんだろう?愛でも嫉妬でもない、なにかもっと厄介なものをど真ん中に抱えて、私たちはどこへ向かうのだろう?3LDK三十五年ローン、郊外のマンションに暮らす三十代夫婦の生活を揺らす、さざ波のような出来事を通して、現代の家族のあてどない姿をリアルに描いた傑作長篇小説。(Amazonより引用)




夫婦、結婚がテーマになっている小説なので、それらに縁のない自分が読んで果たして面白いのかどうか少し心配だったけど、全然そんなのは関係なく楽しめた。
それらのテーマを通して描かれているのが、きっと誰しもが抱いているであろう漠然とした不安や空しさのようなものだからかも。

あと、下手すればジメジメした話になりかねないところを、登場人物のキャラクターや話の展開のテンポよさのお陰で救われている気がする。
読後感がいいんですよね。なぜか。
壊れそうな関係を描いてるのに。

馬鹿馬鹿しいと思いつつドラマで見るような‘典型的な’夫婦、家族を演じようとした主人公が、それによって得たもの、判ったことが、読み終えた時に自分の中に流れ込んでくるような気がして、それは言葉では表しにくいものだけどとても大切な何かのような気がしました。




庭の桜、隣の犬 (講談社文庫)庭の桜、隣の犬 (講談社文庫)
(2007/09/14)
角田 光代

商品詳細を見る





13:06 本の話 | (0) | (0) | 


煩悩イン・ザ・プール 

2010年01月27日 ()
今日久しぶりにプールに泳ぎに、というか歩きに行ってきました。
今年は何か体を動かすことをしようという、密かに立てた目標を達成するために。

やっぱり水の中に浸かっているというのは、それだけで気持ちいいもんですね。
あの独特の浮遊感の中に漂っていると、体の中から悪いものがすーっと抜けていくような気がします。

しかし今の自分にはプール向いてないかも(また“向いてない”で済まそうとする奴)。
だって、どうしても若い男の裸に目が行くんです。

平日の昼間なんて、まず若者はいないだろうと思って油断していた自分。
しかしそこには罠が。
すっかり忘れていたわ、インストラクターという存在を。

隣のコースでやってた子供水泳教室の先生とか、結構若いんですよねぇ。
ここ最近オアシズ大久保並みに性欲が異常な自分にとっては(言いすぎ)、目の保養を通り越してもはや邪魔以外の何者でもない。
泳いだり歩いたりする合間合間にそちらをちらちらと、見ようとするでもなく見てしまうので、集中できない。

駄目だ、プールは……。
自分には誘惑が多すぎるし刺激が強すぎる。

それにしても、水に浸かっていると悪いものが抜けていくと思ったのに、煩悩だけはしっかりこびりついてやがる。


そんなわけで、やっぱりジョギングにしようかと思う今日この頃なのでした。
あ、でもまだシューズ買ってないけど……。




20:34 雑記 | (0) | (0) | 


Grindr 

2010年01月25日 ()
iPhoneやiPod Touchで使える、Grindrというアプリがあるんです。
ご近所にいるゲイ(もちろん登録している人だけ)を表示してくれるというアプリなんですが。

今年のテーマ、彼氏を探すというのを達成するためにも、一応登録してみました。
でも結局削除しちゃいました。

なんか合わない。自分には。

確かに気軽にご近所さんを探せるのは楽しいけど、何か不必要に自分の時間を取られている感じがする。
ついつい繋いじゃう自分がいたりね。

あと、ちょっと返事が遅くなっただけで「メッセージ届いてますか?」と連続で送ってくる奴とかいるしさ。
ウザ。

またやりたくなったら登録しなおすかもしれませんが、今はいいや。


さて、また別の方法で探さないと。




22:46 つぶやき | (0) | (2) | 


COMMENT

  いち
>ついつい繋いじゃう自分がいたりね。

そうそう。時間があるとつい繋いじゃうんだよね。
いい体見たりして悦に入っちゃうんです。(わたしだけ?)

そっかぁ。GRINDR合わなかったんだ。
じゃぁ、次ですね。
次次!!

  はると
>いちさん

次行ってみよう!って感じですかね(笑)。
ちなみにGRINDR削除したら、バッテリーの持ちが格段によくなりました。
それだけしょっちゅう見てたってことで…(笑)。

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IKEAでモヤモヤ 

2010年01月23日 ()
確か去年あたりに大阪に出来て話題になったIKEAに、初めて行ってきました。

話題になるだけあって、すごい家具の量&売り場の広さ。
家具だけでなく、生活用品も色々あって、中には激安のものも。
確かに見てるだけで楽しいし、行く価値はそれなりにあるのかなと思います。
現に今日も多くの家族連れやカップルが来店していて、売り場はにぎわっていました。


でもなんかモヤモヤした気持ちになってしまった自分。
それは「幸せ」というものに対する価値観の違いのような気がします。

客の大部分を占める家族連れを見ていてそう思いました。
自分にとっては、泣き喚いたり走り回ったりしている子供を鬼のような形相で叱る母親や、せっかくの休みなのに買い物に駆り出され、疲れが顔ににじみ出ているようにしか見えない父親も、きっとそれでも幸せを感じているんだろうなぁと。
そしてその幸せは自分は一生得ることの出来ないものであり、それと同時に自分が欲している幸せとは異なるものなんだろうなと。


あと、売り場のそこかしこに積み上げられた大量の日用品を見ていると、ちょっと空しいような気持ちになりました。
うまくいえないけど、勝手に決められた「幸せ」の形を押し付けられてる気がして。
本当にそれが欲しいのかどうか判らないままに買わされているような。
ああいう場所にいると鈍るよね、判断力が。


最後に出口のあたりにある飲食コーナーでホットドッグを買って食べた時、空しさが最高潮に達してしまいました。
券売機で食券を買って店員に渡すと、素早くパンにソーセージを挟んで紙皿の上において渡してくれて、それに自分で備え付けのケチャップとマスタードなどをかけて食べるというあのシステムって…。
なんか言い方は悪いけど、飼育係にエサもらって食ってるような感じがしたわ。
いや、何もセルフサービスが嫌いというわけじゃないんだけど。
何だろう、あの違和感は。
天井から吊り下げられてるケチャップ類が原因か。
あれが普通にテーブルに置いてあったらちょっとは違ったのか。
分からん。


まあ、本当はそんなに深く考えずに楽しめばいいんでしょうけどね。
IKEA、今の自分にはそんなに楽しいスポットではなかったなぁ。




22:45 雑記 | (0) | (8) | 


COMMENT

  いち
そんな餌のようなホットドッグも
彼と一緒に食べると違うかも(笑)
今年の目標を達成しましょう!!

  はると
>いちさん

ええ、きっと彼氏と行ったなら、こんなくだらない感想を持つこともなかったでしょう(笑)。
頑張って目標達成します。
誰か嫁にもうてー!(懐かしい)

ひとり上手  Jean
こんばんは〜。
関東圏のIKEAはいずれも車でないと行きにくいような場所にあるため,車なし&車持ち男なしの自分はまだ行ったことがありません。「男ができたら行く場所」のマイリストにしっかり組み入れてあるので,調達でき次第乗り込み,「フツーの幸せ」ごっこをしてきたいと思います♪……(虚)

「そしてその幸せは自分は一生得ることの出来ないものであり〜」というくだり,とても共感できます。僕もこの日曜日,家族連れやカップルで賑わう新宿の家具屋であれこれ物色していた折,はるとさんと同じような気持ちを噛みしめていました。でも,新宿という土地柄でしょうか,二人組の男性が仲良さげにソファーを選んでいる姿を見かけ,少しだけ救われたような気持ちに。

あらま,結局は「男」がいなきゃ何も始まらないってこと!?

  玉吉
我が家のそう必要で無いトイレのブラシとか 
その辺の細々とした物は対外IKEAよ
だって安いんだもん 
 
ホットドッグ安いよね
まあそれなりの味なんだけど...v-271

  はると
>Jeanさん

こんばんは。
あ、自分が行ったIKEAも車じゃなきゃ到底行けない場所にありました。
今回はたまたま機会があって連れて行ってもらったんですけどね。
バスが出てるらしいんで行こうと思えば自力でも行けるけど、やっぱり彼氏の車に載せてもらって行くのが理想ですよねぇ(笑)。
あー、自分も早くフツーの幸せごっこがしたいなー(心の叫び)。

  はると
>玉ちゃん

キィィー、これだから彼氏持ちは!(八つ当たり)
でも確かに自分も彼氏と一緒に住んでたりしたら、きっとIKEAであれこれ買っちゃったりしてるかも。
安いもんね(笑)。
ホットドッグとドリンクのセットで150円という、信じられないお値段ですよね。

  appappa
初めまして!
コメント失礼します。

最初読んでる内は「いやーん暗い」とか思ってたんですが、読み終わる頃には、何だかはるとさんの事が好きになっちゃいそうでした。
不思議な文章力をお持ちですね〜。

またお邪魔します!

  はると
>appappaさん

初めまして。コメントありがとうございます。
確かに暗いなと自分でも思います(笑)。
まあ、生来根暗なもので、こればかりは…。
こんなブログですが、またよければお暇な時にでも覗いてやってくださいませ。

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